乙女心とおっさん心で観る
探偵物語
1983年/監督:根岸吉太郎
映画「探偵物語」がとても好き。
薬師丸ひろ子主演の映画として、この『探偵物語』と『セーラー服と機関銃』と『翔んだカップル』という成長しかけのところばかり見ているのでかなり偏っているかもしれないが、先ずは薬師丸ひろ子が本当にかわいい。
元気でハキハキしていて好奇心いっぱい、色気がないけれどもかわいい。かわいいのに色気がない。裏表を感じさせない純真無垢なオーラがおっさんに夢を与えてくれる。
そしてお嬢様女子大生の薬師丸ひろ子のボディガードとして雇われた私立探偵の松田優作。初めのうちは存在を知られながらも、後をつける形で任務を遂行しているが、途中からは行動を共にする。
このようなかっこいい大人が探偵で、毎朝屋敷の門の前で待っていて、日中はずっと後からつけてくる。いけない虫に食われそうになったら邪魔してきたり、思いを寄せる大学の先輩の住所を簡単に調べてくれたり、チークを踊ってくれたり、夜の仕事をしている元女房が出てきたりしたら、二十歳やそこらのコムスメがふらっとならないわけがないだろう。私は薬師丸ひろ子の女子大生役に完全に乗り移って見ている。
特にいいのはやはり終盤の空港での長回しの名シーンである。ここの松田優作の演じる探偵辻山さんが本気かどうか、いや絶対本気だ。その辻山さんの本気さ加減を、乙女心とおっさん心で熱弁したい。
クマ、雪積に放つ
実家のクマを雪積もる中を駆けまわらせたくて連れ出した。飯山か木島平かわからないけれど、冬場は積雪で誰も足を踏み入れていない模様の千曲川沿いの土手に、雪かきで盛り上げられた雪山を乗り越えて進入する。人間はスノーシューをはいた。
私がスノーシュー装着にもたついている間、クーちゃんはひとしきり穴を掘りまくり、いざ人間の準備が整うと早速すっ飛んで行った。運動に飢えたもう一人の人間もすっ飛んで行った。
どちらかというと人間の方がはしゃいでいる。
私も司修の絵本に出会ったので
甥っ子が司修の絵の絵本を好んで所有しているというのを小耳に挟んだ。
昨年の秋に、黒姫の役場に用があったので行ったついでに黒姫童話館に寄った際に私も司修の絵本を購入したので、なんか嬉しい。
黒姫童話館は冬はスキー場、夏は牧場になっている丘の上に構えた外国の田舎風ステキ風の絵本のギャラリーであるが、平日に来るとほぼ誰もいない。
誰もいないギャラリーをぶらぶらと見て回り、絵本の閲覧コーナーにさしかかった。「立ち読みコーナー」離れられない・・・
あまり長居をしていると盗んでいると疑われないだろうかとか余計な心配をしながらも、さんざん物色した末に、これ欲しいぞと定めたのがこの「ぼうさまになったからす」(文)松谷みよ子(絵)司修/偕成社刊 であった。
海を渡って戦争に行ったきり帰らぬ人となった村の男たちを、村に住みついていたカラスの大群が、家族らに代わって坊さまになって一斉に海を渡り弔ったというお話。
黄色いひび割れた地に黒く描かれた村の風景やカラスと、青く塗られた海が素晴らしかった。黒いカラスは黄色いひび割れた空を飛んでいるうちにやがて黒い袈裟を着た坊さんに変わっていた。
いつか手に入れようと、本のタイトルと作者の名前を憶えた。
絵本館のショップコーナーで売っている絵本を見たら、正にこの本が売っていたので即座に購入する。
強く欲したものはやはりお互いに吸い寄せられるもんだぜ、と思う。
レジのお姉ちゃんに、隣に併設されているギャラリーでも企画展をやっているのでどうぞご覧くださいと促されて行ってみると「松谷みよ子の絵本原画展」などとやっており、その中の原画に司修も含まれていた。ミラクルだ。「私のアンネ・フランク」があり、おお~これ見たことあるよ~、などとひとり感動した。
このリンク感にこのうえなくロマンを感じる。
NHKドラマスペシャル 白洲次郎
おととしの秋に我が家にHDD&DVDレコーダーが導入されて以来、調子に乗ってTV番組やBS放送などで放送された映画やなんかをいつか見ようとコツコツ録画していたのだが、この年末に遂に予約可能時間が残り1時間をきった。いかん、こうなることは最初からわかっていたけれど・・・
特に昨年の後半は見る時間がとれずたまりにたまった。この年末年始の特別番組ばかりやっている隙にと先ずは軽い「タモリ倶楽部」と「ブラタモリ」と「新・三銃士」を見つぶした。年賀状も出し終わり、まとまってできたこの時間に今度は大物に取りかかるとする。
昨年2月から9月までに3回に渡って放送された「NHKドラマスペシャル 白洲次郎」第1回「カントリージェントルマンへの道」第2回「1945年のクリスマス」第3回「ラスプーチンの涙」
脚本と演出は「ハゲタカ」や今年の大河ドラマ「龍馬伝」を作っている大友啓史氏だそうだ。テレビドラマらしからぬ映像と空気感、NHKすげえぜと思う。
とにかく登場人物は常にたばこをふかし、スモークの中でドラマは進んでゆく。
本当にあったことなのかそうでないのか、あくまでフィクションなのだろう。白州次郎についての資料は本当に少ないらしい。
Tシャツにジーパン姿の男前紳士とか唯一マッカーサーに物申した日本人だとか奥さんが白州正子だとかそんなことぐらいしか私は知らないが、このドラマで一貫して描かれたのは、白州次郎は自分の信念を貫き通して生きたということだった。自分の良心に忠実に、ただ心の赴くままに矛盾に満ちながら進んだ。その方向は善でもあるし悪でもある。善でもないし悪でもない。
容姿端麗で頭もキレて正義感が強く、お金持ちで英語もペラペラ。これがただの鼻持ちならないヒーロー像になっていないのは、彼が自分のできることがなんなのかということが見つけられず、ずっと悩みながらも探し続けていたという姿も描かれていたからだろう。同じように自分の存在価値を探し続けていた良きライバルでもある白州正子との距離間もよかった。
それにしたって伊勢谷友介扮する白州次郎像、かっこ良過ぎ。
甥っ子たち来る 2009-GW
5月、姉と妹が甥っ子たちを引き連れて里帰り。見る度に人間らしくなっている甥っ子たち。時々何を言っているかわからないが、ほぼすっかりペラペラしゃべる。半年に一回くらいしか会わない従兄弟同士、性格も全然違うけれど仲良く遊ぶ。
そして子どもはちゃぶ台の上で踊るのが好き。
変顔をして写真に写るのがブームらしい。撮られると早速見せろと迫ってくる。顔の皮のひっぱりようなど結構雑に扱う。お父ちゃんお母ちゃんからもらった美貌が台無しだぞ、と思う。
河川敷の広場でバーベキューなどした。甥っ子たちはカエルやテントウ虫探しに夢中だ。
宴も佳境に入った頃、何を興奮したのか鼻血を垂れる。鼻の穴にティッシュを詰めて横になる甥っ子を激写しようとファインダーを覗いたら、酷い、まるでゴミだめの中に寝ているようではないか。屋外での食事、爽やかさはどこに。
すごいなあこのバーベキュー。
快復してきた甥っ子は、のどが渇いたらしくジュースが欲しいと要求した。なみなみと注がれたオレンジジュースをいざ飲み干そうとする。鼻にティッシュを詰めたままで。そ、それをやると!
そうなります・・・
クマ、入水す
5月、実家からクマを連れ出して飯綱霊仙寺湖のドッグランに行った。クマは暑いとすぐバテるので、今日は早朝で行くぞと頑張ったが結局着いたのは9時半だった・・・すまん。
最初は猛ダッシュで縦横無尽に駆け回っていたが、日が照ってくるとやはりすぐバテた。
ちょっと日陰で休もうやととりあえずドッグランから出てみたり。
全体的には曇っているのでそれほど暑くないのだけれど、日が照ると暑い。クマは冬毛もまだもくもく残っているのでそりゃ暑かろう。この後ブラッシングしてあげなければと思う。
湖の方に目をやると涼しげなので、水辺を散歩してみようということになった。朽ちかけてちょっと怖い遊歩道の桟橋を渡り、湖の周りをちょっとぐるっと回ると水際まで行けるゾーンに入った。
クマは水際にぐいぐいと寄って行く。リードを引く夫の顔を伺うように振り向きつつ、水にジャバジャバ足だけ入ってみたりなど。ホントに暑かったんだねえ、かわいらしい。
そのうちジャバジャバはエスカレートしていく。
ちょっと、大丈夫か?
気いつけてね。ちょっと?ちょっと?ちょっとー!!
泳いだ・・・
自転車など
折りたたみ自転車など購入した。誕生日のプレゼントにと夫から出た自転車購入補助金と国からの定額給付金を合体。
いまいちよくわからないこの数段切り替え、いまいち慣れないこの前屈みの姿勢、いまいち慣れないこの足届いてない感じ。「軽い・速い」の切り替えチャリンコに慣れ親しんだ人間であるからして。
自動車より生身で、歩きより行動範囲が広くなる。人力の気ままな感じを楽しみたいところだが、如何せん何もかもが不慣れだ。車も怖い。いちいち車が来ているかどうか振り向いて目視するのがとても面倒くさい。バイクみたいにサイドにミラーが付いていればいいのにと思う。夫にあんたは安全確認どうしているのだと聞くと「気配を感じるのだ」と言う。いやいやいやそんな気配など信用できん、と思う。
道の向こう側に渡る時が大変だ。止まって向き変えて安全確認して渡る。足がよく着いていないので踏ん張れず俊敏に動けない。
あの車が行ったら渡れる!という瞬発力を要する行動がとれないんだ。これほどまでに自分が鈍くさいとは。
自転車からわざわざ降りて押して道を渡るおばちゃんの気持ちが、今の私にはわかる。
基本的に、止まった時までも常にサドルに座っていようとするこの生真面目な動作がいけないような気がするがどうだろう。
いちいち鈍くさくもたついているので、共にサイクリングを楽しもうと出かけた夫からは、どんどん離されて遅れをとってしまう。
頑張ってこげばすぐ追いつくだろうと高を括っていると、いざこいでもこいでも追いつけない。思っていた以上に速くこげないもので、どこにギアを合わせれば最適なのかもよくわからない。
・・・
さてと、
けれども自転車の風受ける感じは清々しい。