倉庫の荷物掘り出す(その2)
箱に詰めて大事にとっておいてある中には手紙コーナーもある。保育園の頃の物からであるから膨大な量だが、電子メールが一般化してしまった昨今、この先それほど手紙が増えていく訳でもなし(未だ原始メールをくれる嬉しい輩もいるが)、このぐちゃぐちゃっとくじ引きのように箱に詰められた手紙を、この整理ついでに人物別に仕分けして輪ゴムでまとめればもっとコンパクトに箱に納まるし閲覧もし易くなる‥‥。こういう野暮なことをしているからやるべき事柄が頭の中に年々山積みになって行くのだ。でもこの人物別に仕分けするという初めての試みは一種の好奇心であり楽しいに決まっている。なのでやはり慣行する。複数ないような人の物は時代別にその他大勢としてまとめる。領収書類同様ひとつひとつ名前を見ていった訳だが、やはり読んでしまいます。すぐ中断。これまたこの一通一通が記憶のボタンのようだよ。とても心が暖かいよ、あぁやっぱ死ぬのかなぁ‥‥グルグルグルグル‥‥。い、いけない、こんないちいちじっくり読みふけっていたら何日あったって足りやしねえ。進む。日もとっぷり暮れてようやく仕分け完了。各人物の手紙の高さなどいやらしく眺めてみる。‥‥さて最も高さがあったのはというと、最も近くに居る人物の山であった。だがな、中身は私が入院していた半年間にせっせと書いては送ってきた自身の日記だ。
倉庫の荷物掘り出す(その1)
実家の倉庫にしていた建物をこの夏ぶち壊すということで、長年家族みんなでため込んでいたゴミ、いや捨てられなかった物の山の中から大事な物を拾い出す作業を連日している。荷物を見ると家族それぞれの性格がよく現れていて面白い。とりあえず何でもかんでもとっておき、箱にも入れず山のようになっている区画。きっちり箱に詰めて管理されている区画。何もとっておかないヤツ。箱にも入れず山のようにしているヤツの代表は親父であった。というか荷物は箱に入る規模でない。材木とか鉄板とか使えなくなった什器とかもういろいろ、ゴミ屋敷に片足突っ込んでいる。ってゆーかゴミ屋敷!?連日くず屋さんに来てもらって鉄系の物は回収してもらっているようだ。私はきっちり箱に詰めて管理しているタイプだが、高校を卒業して家を出てからの公共料金や光熱費の領収証や給料の明細や友人と行った所の入場券やなんかを全部とってあり、その量ったらない。今回はこの領収書類など個人情報が載っていて捨てられなかった物をいっさいがっさいシュレッダーにかけて処分することにした。全部ひっくり返して、いる物といらない物を仕分けした訳だが、ひとつひとつその時のことが思い出され、まるでこの一枚一枚が15年間の記憶のボタンのようだよ。走馬燈のように記憶の映像がグルグルと回りなんだかそろそろ死ぬ人のような感覚。ああもう死ぬのかなぁ‥‥。中でも記帳済みの通帳シリーズには長年の貧困&デンジャラスな生活ぶりが滲み出ており、もう感慨無量、目頭が熱くなるのであった。