いただきもので生きている[食べ物編]
実家への土産物イクラ
帰省してくる妹達が実家への土産として、或いは何かのおりに贈ってきて間違いなく喜ばれる物として、甘い物の他にこの「イクラ」がある。その度にお裾分けとしてこちらにもやってくるので(イクラが)、私も実に嬉しい。正月もイクラ、来ました。その情報を私は前もって聞いていた。そのため元旦用のおせち料理を作りながら、このおせち料理の横にはイクラの山、などとイメージさえしていたものだが、当日イクラは最後まで登場しなかった。私はきっとイクラはやめたんだろうなぐらいにしか思わずも、家に帰ってから夫に「イクラ出なかったね」と話題にすると、奴は「冷凍庫にイクラの木箱が入っていたのを見た」と云う。実家の冷凍庫を物色していたのか・・・私以上にイクラに執着していた人間がいた。夫婦揃って卑しい。(後日イクラはもらえた)
文旦
柑橘類の王様だと思う。絶妙な甘味と酸味を併せ持つ。香り高く、食べ応えもある。ぶどうの王様である巨峰と1、2を争う旨さだと思う。立派な皮がもったいなくて風呂に浮かべた。微妙に香った。
野菜ジュースパン
DHCの野菜ジュースを一箱いただいた。濃厚だけれど飲みやすく美味しかった。カレーに入れてみたり、デミグラスソース風のソースを作ってみたり、いろいろおもしろく使わせていただいた。パンに入れたら、以前から夢見ていたきれいな黄色のパンが実現した。美しい。
創作キャラクッキー
イラスト描きを職とする友人が休日に作ったとくれた。これはあんたがいつも仕事の合間に落書きしている、自分や私を含む周辺の人間キャラではないか!ホワイトデーにちなんでか、他にも数名分作ったようだ。ハートやブタさんの形や市松模様だったりの、よくある手作りクッキーの概念を打ち破っている。素敵だ。黒い部分の歯ごたえは衝撃的だった。
大人買いケーキ
誕生日にいただいた。こっからここまで一個ずつくださいな的な買い方をしてきたらしい。一人3個半。テンション上がった。
孟宗竹の煮物
実家は孟宗竹の煮物月間で頻繁に食べているらしかった。父が毎晩取り憑かれたようにバクンバクンとたいらげているらしい。先日妹が帰省した際に、私たち夫婦も実家に呼ばれ、その魅惑の筍をいただいた。その晩家に帰ると夫が、筍をもらってきたかと期待に満ちた表情で聞いてくる。残念もらってこなかったよ。
翌日私だけまた実家に行って帰宅するなり、奴は再び期待に満ち満ちた表情でまた云うのだ、筍もらってきたかと・・・。ごめんもらってこなかったっつーの。というかなんという厚かましさ。
数日後、また実家に用事があって行った際に、その熱望ぶりを両親に報告したらば、気を良くした母が翌日筍を宅配してくれた。すいません~。
おチビさんら
甥っ子や姪っ子が遊びに来るのがじいちゃんばあちゃん並みに楽しみになっている。それぞれのママ達は既に仕事に復帰しているので、県外だったりするとなかなか里帰りなどできないから、いざ帰ってくるとなると、孫の顔見たさに待ちかまえるじじばばと共に、私も俄然テンションが上がる。そして笑わせることに闘志を燃やすのだ。
3月末は熱かった
3月末に、久々に仕事が一段落して、この余裕ある期間に何しよう、アレもやろうコレもやろうなどと、久々の休日に夢膨らませていた時だ。アレは始まった。『あしたのジョー』
BSで毎日毎日5日間もの間、TV版『あしたのジョー』を放映し続けたのだ。1970年~1971年に放映された全79話あるうちの1話から、力石の死ぬ51話までの間の抜粋37話を・・・。劇場版は何度観たか知れないが、TV版というのは観た記憶がない。ここで劇場版では省略されていたジョーの詳細がわかるのだ。このせっかくの余裕ある期間にありがた迷惑な話だ。いや違う、これは偶然でなく必然なのだ。そう思う。当然どっぶりはまり込んだ。
あの5日間で新たにわかったことは、丹下段平の存在があまりにもデカかったことだ。ただのダミ声の汚いオヤジではなかった。ジョーの指導者であり、父であり、母であり・・・親としてのデカすぎる愛情を見せつけられたような気がする。
特に衝撃的だったのはエンディングテーマの『ジョーの子守唄』である。下手だなぁ~~。いったい誰が唄っているのだ。おっつぁんの声をやっている藤岡重慶氏ではなくて、小池朝雄氏という俳優や声優をやっている人のようだ。しかしこの下手さ加減が妙にリアルだし、「立て!立て、立てぇ!」という捻りだしたような叫びもそっくりで熱い。
それと毎回の予告偏のおっつぁんの一言も良かった。毎回「さあ!○×△□のジョーの、明日はどっちだ!!」で締める。ある回ではおっつぁんが熱くなりすぎて予告偏で1分以上しゃべっていたような回があった。更には、ジョーと力石徹の最後の闘いが終わって、もしかして力石死んじゃうのか?という終わり方をした回の次回の予告でおっつぁんは、いきなり大音声で「力石は死んだ!!」と叫んでいた。言っちゃっていいんスか!!とてもビックリした。
TV版の力石が死んだところまでの後は、ジョーが真っ白になっちまう劇場版『あしたのジョー2』が付け足された。これは何度も観ているのでまさかもう泣くまいと思っていたのだが、んなことはない、ジョーとホセが闘っている間中、入れ替わり立ち替わり様々な登場人物の気持ちになって、こんなんなって泣いていたりなんかした。
長かった5日間、私の休日の夜はジョーに捧げた。そして最後はあの唄がもう一度聞きたくて、ビデオを巻き戻した。「立て!立て、立てぇ! 立たなきゃ~昨日に~逆もーどーり~~」
今日の晩飯はチョコとおでんとかっぱ
バレンタインデーということでバナナチョコレートタルトとマカロンみたいなお菓子を作る。こんな洋菓子らしい洋菓子を作ったのは何年ぶりかもわからない。
いつか作りたいと買ってあったタルトの型と重し、昨年買ったまま封も開けずに放置してあったハンドミキサー。これらを意地でも使ってやろうと、この道具を使うお菓子限定で本から選び出す。どこの世界に道具を基準にバレンタインデーのプレゼントを決める奴がいるんだろうか・・・。ここにいる。
まあぶっつけ本番で作るというのはとても危ないというのはわかっていたが、それなりにいろいろな困難にぶち当たりながら、段取りもグダグダに、それなりに不慣れな人が作った情緒あふれる作品に仕上がる。
そして、この2月14日はバレンタインデーでもあるが、母の誕生日でもあり、この出来上がった異様に甘い贈り物を実家に届けに行った。実家の晩御飯はおでんとかっぱ寿司とケーキであった。おお~~。何がおお~~かわからないが、その素敵なお祝いに参加し、帰りにはおでんと寿司とケーキをお土産に持たされた。おお~~、今日は晩飯を作らなくていい。今日の晩飯はチョコとおでんとかっぱだわよ。
読者諸君の御想像に任せるとして
小学生の頃読んだあのポプラ社のあの挿し絵入りのシリーズで読みたかったのだが、どうも現在では私が好んで読んでいたあたりははずされているらしい。しかも当然あのハードカバーの本ではない。大人の文庫本売場に移動してみつけた、『江戸川乱歩全集 第9巻 黒蜥蜴』(光文社文庫)。『黒蜥蜴』に加えて『人間豹』も収録されている。
ある意味エロかった。エロい描写が詳細に記述されているわけではないので、エロ小説だと思って読んだら大間違いなのであるが、いちいち「小学生だったら‥‥」と入れ替わって妄想してみたりしてとても面白い。小学生だった頃と違うところは、黒蜥蜴である女賊を美輪明宏に置き換えて読んでいるところか。しかし美輪明宏と考えて読んでいると、ときおり女賊が裸になるシーンがあり、そういうシーンが来ると頭が対応できずにおかしくなる。
‥‥とにかく読み進む。拉致した美しい令嬢を水槽の中で溺れさせようと企み、その様をこと細かに想像して喜々とする女賊。まるでサド侯の小説だな。女賊と明智小五郎の仲が変な感じになるところも小学生には刺激的だった。
『人間豹』も凄かった。児童図書としてシリーズに入れるにあたって、更にソフトに書き換えられていたかもわからないが、『人間豹』は実のところ人獣相姦の話である。数カ所、書かれていないところで確実に陰惨で淫猥なことがおこったな、と妄想に走る行間が用意されていたりする。大人は大人なりに、子供は子供なりに精一杯の想像力を働かせた。
ところでこの人間豹である男は、興奮したり慌てたりすると四つん這いで歩き出す癖があるのだが、どうもその状況を想像するとひょうきんなものになってしまいそれが困りどころであった。
さて、大人になって読んでみてもなかなかエロくて恐くて面白かった『黒蜥蜴』と『人間豹』。あとがきで、私と同じように、小学生の頃は怪人二十面相以外系ばかり読んでいたという評論家の方が、今、少年探偵ものを読むと以外と面白いと『青銅の魔人』を絶賛しておられた。とてもそそられている。
怪人二十面相以外系
小学生だった頃、学校の図書館の一角にズラッと並んでいた江戸川乱歩シリーズ。怪盗ルパンシリーズもあったが、そっちは古びてボロボロだったので読む気がしなかった。江戸川乱歩シリーズの方は、入荷したばかりできれいだった。そして挿絵と本のタイトルのおどろおどろしさにグッときて、かなり熱中して読んでいたと思う。
シリーズの前半は確か怪人二十面相が出てきて少年探偵団が活躍するような内容で、人気があり皆借りていた。後半は、怪人二十面相が出現する以前で、明智小五郎がまだ若い頃、明智vs犯人を全面に出した物が集められていたと思う。私はというと勿論このシリーズ後半ばかりに熱中する児童であった。
後半シリーズは、小学生には内容が密かにエロかったと思う。男と女のジトッとした大人の匂いがプンプンしていた。美しい女性が出てきて裸になるという状況もよく出てきたと思う。『黄金仮面』の文中から「胸の谷間」という表現をおぼえ、読んだ次の日に学校で喜んで連呼していたのを憶えている。明智小五郎も若くて独身の時もあった。そして色気があった。
そんな江戸川乱歩の児童文学全集のことが、大人になってずっと気になっていた。内容はあまり覚えてないが、エロくて恐くて面白かった怪人二十面相以外系、それでも児童書だった江戸川乱歩シリーズ。いったいどんだけエロかったのか、それがずっと気になっていた。
年末に不意にやってきた読書週間に、是非とも読んでみようと思った。そして、もっとも印象深かった『黒蜥蜴』を二十何年かぶりかに読んでみたのであった。
女だらけの共同生活
こちらは共同生活のオバちゃん情報で仕入れた『ごまめと松の実をオリーブ油で煎るヤツ』のアレンジで『ごまめとピーナッツをオリーブ油で煎るヤツ』。
さて、修行していたわけではないが、断食道場でもない。じっくり読書でもしてリフレッシュしてやろうと決め込んだが、同室のオバちゃん達がそうはさせてくれなかった。
活字は確かに追っているが、耳からは大音声で交わされるオバちゃん達の話が入ってくる。追っている活字は何が書いてあるかさっぱりわからないので、頭の中は意外と面白いオバちゃん達のバカ話の比率が圧倒的になる。本の上澄みをすくうように活字を追う。物静かに読書をしている人間を演じているが、実はオバちゃん達の話をしっかり聞いている。不覚にもニヤッと笑ってしまったのが見つかろうものなら「あんたもためになるから聞いといた方がいいよ!」などと巻き込まれる。
オバちゃんのすごいところは、相手と向き合っていなくても話ができることだ。仕切られた空間で各々違うことをしながら会話ができるだろう。カーテン越しに、いきなり話しかけて来る。もし誰もいなかったり、誰も返事をくれなかったりしたら‥‥恥ずかしいだろう。
昔、野沢温泉の共同浴場に入った際、男湯から「母さんあがるよう。」とおじさんの声がして、女湯からおばさんが「はいよう。」と答えていたのを目にして身も心も芯から温まったものだなぁ‥‥。イヤそうじゃない。それとは違う。
オバちゃんは失敗を恐れない。車がビュンビュン行き交う道路も、全く左右確認せず渡る。オバちゃんは特攻隊だ。オバちゃんはワイルドだ。そして『渡鬼(わたおに)』が好きだ。