2007.01.24
怪人二十面相以外系
小学生だった頃、学校の図書館の一角にズラッと並んでいた江戸川乱歩シリーズ。怪盗ルパンシリーズもあったが、そっちは古びてボロボロだったので読む気がしなかった。江戸川乱歩シリーズの方は、入荷したばかりできれいだった。そして挿絵と本のタイトルのおどろおどろしさにグッときて、かなり熱中して読んでいたと思う。
シリーズの前半は確か怪人二十面相が出てきて少年探偵団が活躍するような内容で、人気があり皆借りていた。後半は、怪人二十面相が出現する以前で、明智小五郎がまだ若い頃、明智vs犯人を全面に出した物が集められていたと思う。私はというと勿論このシリーズ後半ばかりに熱中する児童であった。
後半シリーズは、小学生には内容が密かにエロかったと思う。男と女のジトッとした大人の匂いがプンプンしていた。美しい女性が出てきて裸になるという状況もよく出てきたと思う。『黄金仮面』の文中から「胸の谷間」という表現をおぼえ、読んだ次の日に学校で喜んで連呼していたのを憶えている。明智小五郎も若くて独身の時もあった。そして色気があった。
そんな江戸川乱歩の児童文学全集のことが、大人になってずっと気になっていた。内容はあまり覚えてないが、エロくて恐くて面白かった怪人二十面相以外系、それでも児童書だった江戸川乱歩シリーズ。いったいどんだけエロかったのか、それがずっと気になっていた。
年末に不意にやってきた読書週間に、是非とも読んでみようと思った。そして、もっとも印象深かった『黒蜥蜴』を二十何年かぶりかに読んでみたのであった。