15年×5人=75年その3
大量の写真に混じってカセットテープが4本出てきた。そのうち2本は私と姉が2~3才の時に録音したと思われる。父と母がかわるがわる絵本を朗読しているものであった。父と母は25~26歳の時だから今の私よりはるかに若いのだと思うと変な感じであった。しかしこのテープ、子供の声の記録というより父母の記録ではないのか?歌声まで披露している。よくよく聞くと、自分たちが忙しかったり眠くて読むのに困難な時に、執拗に本を読めと言ってくる子供達に聞かせようと録音したのだそうだ。要するにダミー両親なのであった。母は今になって聞いてみると自分の声や歌なんかいいからもっと子供の声をとっときゃ良かったと悔しがっていた。しかし私からすりゃあ、母のかわいらしい声の朗読や、子供の質問を適当にかわす様、うろ覚えの『ウルトラマンタロウ』のテーマソング、父のこぶしを効かせた水木一郎ばりの『マジンガーZ』、日曜の朝の『時事放談』をBGMに遊ぶ子らなど、超レア音源を発掘したもんで、相当楽しませてもらいました。
15年×5人=75年その2
母と共に近所のカメラ屋に繰り出し激安フエルアルバムを10冊購入。帰宅しさっそく畳の上に撮った日毎に絵合わせをして年代順に並べて行くことにした。部屋中に写真が敷き詰められ大規模カルタ大会状態になる。当然踏んで歩く。頭の中はグチャグチャになり疲労困憊神経衰弱。
一通り仕分けが済んで次はこれを年代順にアルバムに貼り込んで行く。はじめ一人しかいなかった子供が次々に産まれて家族が増えてどんどん成長してゆく。今の私の歳で既に4人の子供に囲まれている母は、まだお腹も出ていなくスマート、まさか4人も子供がいるとは思えない。今の自分とは全く違う生活を送っていたのだな。母の苦労が涙ぐましい。姉弟5人分、全部貼り込むのにまる4日かかった。
15年×5人=75年その1
今月家族行事があり、その時の小道具として、それぞれ姉弟が両親と写っている写真が必要だから探しといてくれと母に頼んでおいた。そしてある日母から電話が来た。今探しているのだがどうしても2人分が見つからない、ってゆーかドえらいことになっている、と。整理収納が苦手な母のことだからそんなことを頼んでしまって大変だろうなあとは思っていたのだがやっぱ大変だったか‥‥。でも子供5人も育てながら仕事もしてりゃあ整理収納ができなくても致し方ないとは思う。大変なことさせちまったと慌てて実家に行ってみた。
その捜査の現場の部屋へ案内してもらうと、もの凄い写真の量!であった。小学校高学年あたりで、今後は自分で写真をアルバムに貼りなさいと、それぞれにアルバムを渡されてからは自分でアルバムを管理するようになったのだが、それ以前の写真や、家族でどこかに行った時の写真などは撮りっぱなしで子供にまで渡って来るわけがない。それらの見たことのなかった写真がここに大量に集結したというわけだ。しかももう時代もなにもなくシャッフル状態で‥‥。この中から探し出さなければならないのか‥‥と思うと途方に暮れる。&これがアルバムに年代順に収められていたら、閲覧するのがさぞ楽しかろうにと切実に思う。今私がやらなければこの先誰がアルバムにするのだ、と使命感が沸き上がり、つい、「お母さんあたしがやるよ」と言ってしまうのは私の厄介な性格。
解体見物(その2)
また見物に行ってしまった。といっても本日行ったらもうほぼ何もなかった。建物の土台になっていたコンクリートを砕いて取り除く作業に入っていた。あたりまえだが開けたねぇ~。別の景色だよ。でも懐かしい。
建物が建つ前はここは空き地ででっかい岩がごろごろしていてそこに布団干したりそこに寝転がったりクローバーが一面に茂っていて飼っていたうさぎを放して遊ばせたり台風の日には強風に飛ばされて浮くかもしれないと傘をさして走ったりなどしたので。あとブランコがあってそこに姉と一緒にリカちゃん人形を縛って吊すなど残酷プレイもしたな。
解体見物(その1)
昨日は既に解体屋さんが入って作業をしているというので見物にちょっと顔を出す。建物の中にある物を外に運び出していた。取り壊す建物は住居じゃないのだが、何故か大量の布団の山や衣類なども混入。ひとつひとつを選別しながら運び出している。姉が幼い頃に使っていたグリーンのハート模様(スゲェ柄です)の肌掛け布団がトラックの出入り口の水たまりを埋めるために敷かれていた。1階の物は既にほとんど運び出されており、2階の物をバタバタ運び出している。
1階の各部屋の壁は全部とっぱらわれ、か細い鉄の支柱がむき出しており、この状態で未だ建っているというのも恐ろしいが、その2階で解体屋さんがバタバタとせわしなく歩き回っているというのがもっと恐ろしい。お茶の時間には何故か解体屋さんの方々の中に母を交えて記念写真を1枚。中に目鼻立ちの整ったかわいらしい男子もおるのう~パチッ。頭(カシラ)のおじさんのタバコをくゆらせる男気あふれるショットを狙っていたのだが、おじさん持っているだけでほとんど吸わないんじゃぁ。男気ショットは撮れなかった。
倉庫の荷物掘り出す(その4)
らくがき帳の山の中から『アイドルぬりえ』なる物が出てくる。なんだこれー!?表紙は花に囲まれた郷ひろみ、右上には星型の中に天地真理と思われる似顔絵が施されている。顔色が土色だ。中は郷ひろみをはじめ、野口五郎、西城秀樹、山口百恵、桜田淳子など当時のアイドルのリアル似顔絵である。しかし何だろう、これはぬりえを楽しむ年頃の子供にうけていたのであろうか。リアル似顔絵であるので、目とかキラキラしてないし、お姫様系の豪華なドレスも着ていない。ぬいぐるみやマイクを手にして時代を感じるポーズを決めるアイドルを、ただのおっさんが4人並んでいるフォーリーブスを、学生服を着た演歌歌手(誰だか判別がつかない)をぬって楽しかったのかい?ベイベー。
倉庫の荷物掘り出す(その3)
小学校低学年以下の物は、本人らはまだ管理できず母親の管理下で保管されていた。保管といっても大きなダンボール箱にまとめてドサーッと一緒くたに入っているだけであったが。保育園で描いた絵やらくがきやぬりえや図工で描いた絵やテストの答案用紙や教科書やジャポニカ学習帳や休み帳やなんかがぐちゃぐちゃーっと入り乱れて詰め込まれていた。私はこれをまたしても各人の箱を用意し仕分けした訳だが、何がおもしろいかって休み中の日記や授業で書いた作文がいい味出しており、いうまでもなく中断しまくりで母と交換しあって読みふけるのであった。中でも私の一学年下の妹の作品が群を抜いて傑作揃いであった。日記や作文の内容はほとんど姉妹で遊んだり家族でどこかへ行ったことなどで、その時の状況や各人の言動、更には自身の心境など、天然の誤字脱字、(姉達にいじめられて)怒りに満ちた筆圧など交えて詳細が記されており、ヤツの性格も滲み出すぎでメチャメチャかわいい。こっちもその時のことを憶えているからまた幼少の頃の映像が走馬燈のように‥‥(もういいか)。こんなもん全部読んでいたら日が暮れちまうよということで、妹小学二年の日記帳はその日家に持ち帰って完読さしてもらいました。事後報告。