2011.03.02
隔たりの基準をとりあえず世代間として
アカルイミライ
2003年/監督・脚本:黒沢清
自分は割と一般的な物の見方をする方だろうと思っていたけれど、それはそうかもしれないし、そうでもないかもしれない。
一般的であることとそうでないことの境界線、善と悪との境界線も極めて曖昧であることがわかる。
工場で働く危なげな青年の身の回りで起こって行く、価値観のズレによる不穏や犯罪。
不穏な空気と効果音が流れ、観ている自分は、物語がより一層闇に向かって行くだろう、辛い話になってしまうぞと、より暗い方向に向かっているとする。そこに不意に開放的な効果音が流れ、物語は自分とは真逆の方向に進んで行ってしまう。
一瞬置いて行かれる。
見る角度をそこで微調整する。流れに順応すると、その罪や死は許容される。晴れ晴れとした気分で観ている自分がいる。境界線などというものは無数にあるから正解などない。結局自分の位置をどこに置くかということ。
幾度か置いて行かれて、不思議な気持ちになった。