西澤家は盛り上がっている
先々週の土曜日に父と母と3人で、出産を控えて自宅安静中の妹の見舞いも兼ね、弟の個展を見に行った。父がいつもながらの「明日行くぞ」で急遽東京行きが決まったため、準備で当日朝5時出発までに10分しか寝られなかったわい。
とりあえずは北区にある妹の家に向かう。車にナビがついていないので、前日に妹が用意してくれた行程の詳細と、Googleマップを巨大に出力したのを頼りに進む。妹の指示だと大泉ICで下りたら、まず環八を行き、途中から環七に移るというものだったが、いざ大泉ICを下りると父が「オレは環七の方が詳しいのだ」といきなり指示を無視して環七に向かった。時間帯で混むからわざとよけているのじゃないのか?と思ったが、父は我が道を行く。
一抹の不安がよぎったものの、幸いにも混むこともなく無事妹の家に辿り着いた。
そこからは妹の旦那様と姪っ子に引率してもらい弟展のやっている銀座へ。
INAXギャラリーの横には警察博物館なるものがあり、丹念に磨かれたであろうテカテカの裸に黒いベルトが無防備な巨大ピーポくんが出迎え、姪っ子が嬉々としてそっちに突進していた。
ガランとした大きな白い部屋に、2m角ほどに大きく出力された作品が15点。
弟の写真は画面の隅から隅までくっきり写してある。手前も奥も真ん中も端っこも。お手軽に撮った写真ではないことは確かだ。写っているモノはなんでもないモノ。なんでもないバケツが、机が、椅子が、緊張感をもって写っている、巨大に引き伸ばされた画面に間を持たせる。不思議な写真。
親子三人揃って感動したのは、この個展のチラシに掲載されていた、INAXギャラリー顧問の方による弟の作品の紹介文である。「万物への硬質で強靱な博愛的偏愛がある」或いは「まなざしのちからで、あるものすべてを立ち上がらせてみせるちからがある」などと評されており、なるほどそう捉えるもんですか、うまいこと書いてくれるもんだねえと感心する。そして親子三人でありがたがった。
その後・・・
母は、弟の作品というよりも、あのチラシが嬉しくて何度も何度も読み返しては喜んでいる。
父は、弟の写真のことを語り出すと、座頭市だ黒沢明だと引き合いに出し、皆を無言にさせる。(汗)
『西澤諭志 展 -写真/絶景 そこにあるもの-』
2009年5月1日(金)~5月27日(水)
銀座 INAXギャラリー