キノコを干すと
うま味が増すと『ためしてガッテン』でやっていた。「味がない」「味については特に期待していない」などと囁かれ、地味な存在であったシメジなどが劇的に変わるという。私はキノコの館の住人と呼ばれる程キノコに溢れた環境で生まれ育ったので、このような情報を聞いてしまったらやらずにはおれないだろう。
シメジ、エリンギ、エノキダケと続々と生産した。エノキダケについては、干した物を直に食べると噛めば噛むほどに味が出るようなおつまみ系な食品となり、評判はまずまずだった。
シメジとエリンギについては、日々の食生活に追われ、干し上がったらすぐさま煮物やなんぞに取り急ぎ投入して使ってしまうため、未だうま味が増したかどうか実感できない。が、歯ごたえはものすごくいい。劇的に変わって、料理の中の食感の楽しさ出し係、食物繊維係として調子に乗って何にでも投入してしまう。
イヤいつの間にか主旨が変わっている‥‥というかもともとの「味がない」「味については特に期待していない」という「量産キノコの良さって食感だけではないか」という部分がより強調された結果になってはいないか。一刻も早く味がシビアに出るお吸い物でうま味が増したかどうか確かめて、この量産キノコに定着している世間の意識を払拭しなければならない。
ある日、自慢げに実家にそれらを持って行ってその手法を推奨していたところ母が、干椎茸もそのように自作すればいいではないかという。そうだよね、干椎茸ってちょっとしか入ってないのに高いもんね。
主旨はここで更に大きく変わる。
中国産と違って国産の生椎茸はけっこういい値段だった。他のキノコと一緒に干して数日が経過する中、徐々にわかってきた。椎茸は次第ににシワシワになって縮んで干し上がった頃にはかなりコンパクトになっていた。
わかったこと。干椎茸の値段はそんなもんだった。