年末のこと-魅惑のシュトーレン
昨年のクリスマスはわりと仕事が早いうちに落ち着いたので、余裕ができ、あの肉~とこの肉〜を作れ、シュトーレンもできた。
あの肉~は、昨年流行に乗って作り始め、やたらめったら何にでも使う自家製塩麹を使ってみたのだけれど、やはり庶民のあの肉~とは思えない感動の柔らかさを生み出していた。勿論もう一方のこの肉~もしかり。
シュトーレン、打ち込んで変換すると「首都ー連」と族な感じでいつも出てくる。
何年か前に、このドイツの庶民のクリスマスケーキに出会ってから、これを作るようになった。
年齢が増すにつれ、あのクリスマスに売っている生クリームこってりの煌びやかなケーキに理不尽なものを感じ始めていた。
だいたい、クリスマスというのは肉料理を二種類こさえるほど調子に乗って作り、そして食べるわけで、ケーキに辿り着くまでに、満腹感は既に120%に達しており、ここであの雪のようなフワッフワ生クリームやらイチゴやらチョコレートでできたお家やらマジパンサンタクロースなどが集結した夢の共演的な世界観で攻めてくるデコラティブなホールケーキがドーン!と出て来きますとです。とりあえずは「おぉぉぉ!」と喜びとも驚きともとれないような微妙などよめきが起こり、これ、入るのか!?と焦る自分に笑ってしまいながらおかしな感じで頑張って食べる、という構図となるのです。
夫の仕事の取引先の関係で、近所のスーパーから購入するはめになったとはいえ、ホールだからそこそこの値段はしている。これを頑張って食べるという空しさ。
そうかといって、おしゃれなケーキ屋さんのクリスマスケーキはこってりし過ぎないものを提供しているところもあり魅力的ではあるけれど、ホームパーティーを催すなど調子に乗っていない限り、買うのを躊躇する値段なのであります。
そんなクリスマスケーキに疑問を感じ始めたときに、このシュトーレンに出逢ったわけです。
砂糖まみれになった湯たんぽのような、やや雑な感じのお菓子。見た目と味のギャップがかなりのものだった。
バターとブランデーがしっとりと染み込み、ドライフルーツやナッツなどがいっぱい入った、みっちりお菓子。まわりにまぶされた砂糖も絶妙。
ドイツでは、これをクリスマスの一ヶ月前に作り、毎日少しずつスライスして食べながらクリスマスを心待ちにするという、地道な習慣で食するお菓子なのだそうだ。
この日持ちのする、しかも意外に美味しいクリスマスのお菓子は、若くない120%の胃にとても優しい。日本ならクリスマスに作ったとしたら、そこから少しずつスライスして食べながら、お正月を心待ちにするというスタイルがおしゃれなんではないか。
自分の持つレシピで作ると二つできるわけだが、意外に美味しいので、少しずつなど辛抱できず、正月までもつわけがない。
小布施栗の巨大な渋皮煮がはみ出したスペシャルシュトーレンなり。