団子も売っている快適コンサート
8月、仕事が一段落してボサーッとテレビを見ていたら、たまたま情報を仕入れた。8月の終わりにゴンチチが須坂市のメセナホールに来るという。これはと思い慌ててチケットを購入した。ゴンチチのコンサートは十何年か前にも一度行ったことがある。その時一緒に行った友人も誘って行った。
須坂のメセナホール、場内に入ると売店らしき一角に人だかりができていた。ゴンチチグッズを求めるファンが我も我もとやっているのかと人垣に近寄ると、どうも売っている人間が料理人風の帽子と白衣姿だ。よく見たら地元のお菓子屋さんが団子や大福餅、おやきなどを販売していた。入場客の中にはアコースティックギターのコンサートということでちょっぴりドレスアップしている女性もいる。ドレスアップしている素敵女子と団子を求める人、白衣に帽子の菓子職人。いろいろな人が混在するコンサート会場。何というおおらかさ、素敵だ、須坂。
6時半、そうだ丁度お腹もすく時間だ。平日だから会社が終わって速効で駆けつけた人にはオアシスのように見えるだろう。友人もそのオアシスにふらふらと近寄って大好物のずんだあんの団子を見つけ、買うというので私もこねつけを買った(正確にいうと買ってもらった)。私は後でゆっくり食べようとズボンのポケットにそのこねつけを忍ばせ、もぎりゲートに向かった。
するとだ、なぜか隣りで同時にゲートを通過しようとした友人がスタッフにとがめられた。友人は団子を食いながらもぎりゲートを通過しようとしていたのだ。ホール内は飲食禁止なので、ここを通過するのはいいがホールに入る前に食べきってくれと注意を受けていた。
そうだよね、ダメだよねー。実は私も席について開演までの間に先程購入したこねつけを食べようと、映画館の感覚でいたことは確かだ。そんな感覚をうっかり持たせる緩い空気があの売店の一角にはあった。団子を食いながらもぎりゲートを通過できるコンサート、素敵だ。
「二人でお茶を」が流れてゴンチチの二人が黒いスーツにお揃いの赤いギターで登場した。心地良い音楽と、飄々とした物腰のなにわのおじさま二人のおしゃべり。妙な行動を起こした客にも絶妙につっこみを入れる。『地球一番快適コンサート』素敵だった。
コンサート終了後にはサイン会までも行われ、今度こそゴンチチグッズを我も我もと買い求める人だかりと、サインを求める長蛇の列ができていた。そしてその長蛇の列を横目にフロアに出ると、あの売店もしっかり営業していた。さらに会場の出口に進むと近々行われる布袋寅泰のコンサートのポスターがバーンと張ってあった。団子を買い求める布袋ファン。素敵だ、須坂。