親父がレスキュー隊を呼んだ
家の近所にある激安ラーメン店が大好きな父は、週一で母とそこに食べに来る。私もその都度呼び出されてお相伴に預かっている。昨日はその日であった。
そしてその日の話題は、
あろうことか父が工場で作業中に機械に頭を挟まれてレスキュー隊に救出されたという話題だった!
親父の証言
工場で作業中、機械の調子が悪く、機械の動きのちょっとの隙に何かを直そうとした。
機械からしたらまさかそんな所に人間の頭部があるはずのない所に頭が来た。
機械のセンサーが変に働き変な動きをした。
父の頭部が挟まれた!
圧迫され続けた!
どうにも動きがとれなくなり、携帯で別の部屋で作業をしている母を呼び出そうとした。
慌てて携帯を落とした!
手が届かないので長靴を脱いで長靴でたぐり寄せた。
母に電話したが電波が悪く繋がらなかった(ToT)
しょうがないから自分で119番した。
工場の住所や番地を認識しておらず場所を伝えるのに手こずった(ToT)
すぐに救急車とレスキュー隊が来た。後にパトカーも来た。
機械をどう操作したら圧迫を解除できるか伝えるのに手こずったが、無事操作がわかって事故から30分後、圧迫解除した。
すぐさま立ち上がって「大丈夫だでえ」と言ったら、救急隊に「すぐ立っちゃダメです、寝ていてください!」と注意され、担架に横になり、救急車に運ばれた。
救急隊が無線で「本人は無事ですが頭部が凹んでいます!」と言っていた。
母の証言
母の作業する部屋に救急隊がやって来た。
「おもてで男性が機械に頭部を挟まれて救出されました!」と伝えられた。
頭部を挟まれたと聞いて、どえらい無残なことになっていると思った。
真っ青になって出て行くと、父が既に救急車に乗り込んだ状態で、どっちかというとぴんぴんしていた。
「奥さん一緒に乗っていきますか?」と聞かれたが、一緒に行ったら帰りにタクシー代がかかるからやめておこうと思い、後で自分で行くと言った。
近所から野次馬がわらわらと集まってきて騒然となった。
父の証言に戻る
病院に運ばれて、耳の後ろが切れていて13針縫った。
頭部の凹みはみるみるうちに腫れてきたが、骨や脳には今のところ異常は見られなかったらしい。
全治一週間の軽傷だと言われた。
それよりも血圧が270あったらしく、こっちの方が尋常ではないので明日にでも内科に診てもらうべしと言われた。
その後帰宅して、残った仕事をやった。
翌日も、何事もなかったかのように仕事をした。
そしてその次の日、ラーメンを食べに来た。
母は、お父さんの血圧が心配だから塩分を控えた献立にしなくちゃいけないんだと言った。
週二回ラーメンを食べていたのを一回に減らさなくちゃダメなんだと言った。
はあ???
いつもラーメンのスープを麺よりも先に飲み干してしまう父が
「今日は断腸の思いでスープを残すんだ」と言い、スープをたっぷり残した。
これでいいのだ。
ダメだけど。