2010.05.27
作品の映像、映像の作品
アニエスの浜辺
2008年/フランス/監督・脚本:アニエス・ヴァルダ
ヌーヴェル・ヴァーグの女性監督、アニエス・ヴァルダ。81歳になった彼女自身の人生を辿る映像。
子供時代を過ごしたベルギーの浜辺。疎開した南フランスの港町セート。夫である映画監督ジャック・ドゥミと渡ったアメリカ西海岸。それぞれの地での出来事、出会った人達のこと。
ベルギーの浜辺に立てられた無数の鏡に映されたスタッフ、砂浜と海と空、光の乱反射、彼女自身。風で彼女の首に巻かれたスカーフが彼女の顔に覆い被さるのを「本番でもこうなればいいわ」と云う。
彼女自身が語る。当時の映像が繋がれ、モノクロ写真をコラージュしながら、かと思えばいきなり色彩豊かな再現映像にすり替わる。
いくつものインスタレーションが映像となって折り重なっている。独特の感性で、思うままに、自由自在に、プチッと切り取る。ブツッと切ってペッと貼り付けたような荒っぽい繋ぎ目が、とても女性らしく思える。少女のようなおばあちゃん。